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フットボールと天鳳と、時々アンダーグラウンド。

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2010Jリーグdiv.2 第三十二節 水戸ホーリーホックvs柏レイソル

「アンチ・フットボール」という言葉がある。

どういう定義で使われているのか
はっきりと知っているわけでは無いけれど
その言葉が使われている文章の文脈から判断するに

「フットボールの面白さ、エンターテイメント性を無視して
勝負にのみ拘った戦術、戦法を採ること」

というような感じで捉えている。

要するに自陣に引きこもって失点を防ぐことに主眼を置き
点取りゲームとしてのサッカーの面白さなど度外視して
0-0の引き分けも辞さない、というような戦い方を指すのだと思う。

もちろん、サッカーは点が入った時のカタルシスにこそ
その醍醐味は凝縮されている。

足でしかボールを扱えないというルールによって
なかなか点が入りにくいゲーム性を持つサッカーにおいて
ボールがゴールネットを揺らすその瞬間こそが
そのじれったさから僕らを解放してくれるわけで
華麗なテクニックも徹底された規律も、まさにそのために存在すると言える。

当然僕も、サッカー好きとしては
0-0の引き分けの試合など率先して見たくは無い。

けれど、サポーターとしては違う。
生活を、人生を賭けて戦うサッカークラブにとって
美しく負けることが勝つことよりも大事だ、とは僕には言えない。

今期J2で戦う柏の対戦相手は
ややもするとその「アンチ・フットボール」とも言える
引きこもって0-0上等のサッカーをやってくることもあるけれど
その戦い方を非難することは僕にはできない。

先日の熊本戦もそうだった。

柏との戦力差を考えて
現実的に勝ち点を取るための最善の策を考えた場合に
ああいうサッカーになったとして
それをアンチ・フットボールと責めることはできない。

彼らにとってはやむにやまれぬ選択だということくらい
僕にも理解はできるからだ。

なぜなら。

彼らの姿はJ1における柏の姿だから。

鹿島やガンバ、あるいは川崎あたりと戦う際に
柏がある程度引きこもったり押し込まれたりして
カウンター狙いの守備的戦術を採らざるを得ない、という状況は
少なからず存在するからだ。

残留を争う上でどうしても勝ち点1が欲しい時、
相手の長所を消すことに主眼を置き、
引きこもってカウンター狙いに徹する戦術を柏が採ったとして
今の僕はそれを喜んで受け入れるだろう。

美しいサッカーを見たければ
テレビでバルセロナやアーセナルを見ればいい。

打ち合って負けてJ2に落ちるくらいなら
現実の力量差を考えて勝ち点を拾うために現実的な戦い方を選ぶ、
僕はそれを受け入れるだろう。

したがって今週の水戸戦、
彼我の力量差、戦力差を考えた場合
水戸がそういった作戦を採用する可能性は十分考えられたし
その相手からどうやってゴールを奪うかが
戦力に優るチームの宿命だと僕は思っていた。

ところがそれは間違っていた。

試合開始直後から
水戸が激しいプレスを仕掛けて
ボールを奪ったらすばやくサイドに開きクロスを上げる。

開始早々に精度の高いクロスから奪われた失点は
彼らの牙の鋭さを示していた。

さらに。

1点を取ったら引きこもるのかと思っていたら
彼らはよりいっそう攻撃の手を緩めずに攻めてきた。

前線から激しくプレスをかけて
DFラインは高くコンパクトに保たれる。

当然裏を狙う柏の逆襲に
決定的なピンチも再三迎える。
コーナーキックから同点になった後も
その姿勢は変わることがなかった。

後半になっても戦い方は同じだった。
あれだけのプレスを前半からかけていたわけだから
60分、70分と時間が進むにつれ
水戸の選手の足は次第に止まっていく。

そこから生まれるギャップを
レアンドロ、茨田、田中、北嶋、林と言った
柏の前線がいいように使っていく。

2点目のシーンはレアンドロの絶妙なクロスのもたらしたものだけれど
3点目、4点目は明らかに水戸の選手の疲労が影響していただろう。

点差を見れば4-1で柏の快勝だ。

IMG_1088.jpg

けれど水戸の選手は最後まで攻撃の姿勢を緩めなかった。
現実的に考えれば、1点を取ったところで守備的にシフトし
最悪でも引き分けを狙うという方が賢明かもしれない。

それくらい、プロの監督とプロの選手なのだから分かっているはずだ。

では何故、そうしなかったのか。

おそらくその原因は、水戸にとって
クラブ史上最多となる観客を集めたスタジアムだろう。

J2ではめったに無い10000人をオーバーする動員。
スタジアムのメインスタンド、バックスタンドを埋める観客。

IMG_1086.jpg

IMG_1087_org.jpg

彼らは、その観客のために
「自分たちのサッカーの良い部分」を見せようとしたのだろう。

彼らは知っていたはずだ。

この日、スタジアムに訪れた観客の多くは
水戸のサッカーなどほとんど観たことの無い人たちだ。
つまらない試合を見せてしまえば
二度と訪れてくれないかもしれない人々だ。

その人々に引きこもった現実的な作戦を採るよりは
見に来てくれた観客にサッカーの面白さや
自分たちのチームの持っている美点を見せたかったのだろう。

今日は集客のために呼んだタレントのおかげかもしれない。

IMG_1084.jpg

でも、その人たちにいいサッカー、面白いサッカーを見せれば
また来てくれるかもしれない、来てくれることを願って
彼らは最後まで自分たちの良い点を前面に押し出して戦ったのだろう。

結果的には大敗かもしれない。

けれど、彼らのその気概のような思いは
対戦相手のサポーターである僕にも
十分伝わってきた。

J2の下位チームの経営は厳しい。
景気の動向もさることながら
そもそも動員において有力クラブには到底太刀打ちできない。

だからこそ、注目を集める試合において
可能な限り、自分たちのいいところを見せ
できることなら勝利ももぎ取ろう、
そういう選択を彼らはしたのだろうと思うし
その選択に対してはサッカー好きとして賞賛の言葉を贈ろうと思う。

勝ったからではなく
1サッカーファンとして試合を見た場合にも
とても、面白い試合を見せてもらったと思うから。

もちろん、柏にとっても大きな勝利だった。
昇格まであと勝ち点1まで迫った。
次節の岐阜戦は引き分け以上で昇格だ。

おそらくチケットも相当数売れるはずだ。

でも、その人たちに柏のいいところを見せなければ
この日の水戸の戦い方に応えることはできないだろう。
引き分けでいい、などということは断じてあってはならない。

この日の水戸の戦い方同様、
柏のサッカーを存分に披露した上で勝って決めてくれ。
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Author:omoteura
天鳳で日夜遊ぶ柏レイソルサポーター。

天鳳(鳳凰卓東風戦)の段位は現在八段。

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Twitter=@foolishowl0425

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