Polyhedron

フットボールと天鳳と、時々アンダーグラウンド。

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The Outcasts 外伝~An unidentified woman vol.3~

毎日残される「ケツ弁」。

これを僕は、近くにある公園に屯するホームレスに
自分が帰る時に持っていって差し入れすることにしたのだ。

どうせ漁られるのならこちらから持っていってやれば
彼らだって手間が省けるだろうし
こちらとしても食べ物を捨てるという罰当たりな行為から
幾分なりとも逃れることが出来る。

少し遠回りにはなるけれど
僕は毎日仕事が終わってから
公園まで弁当を運ぶのを日課にするようになった。

最初のうちは少し戸惑った。

普段はホームレスばかりに見えていた公園も
いざ弁当を差し入れしようとして見てみると
そこには実に多様な人々がいた。

見るからにホームレスだと分かる人ばかりではないのだ。

ホームレスに近い格好に見えるけれど
ベンチで新聞を読んでいたりする者もいれば
自転車まで持っているのに
寝床はダンボールハウスという者もいる。

雨が降ると、どこかに行ってしまうのか
一気に数が減る。
行き場の無い数人が青いビニールシートをめいめいにかぶって
植え込みの中などに寝転がっている。

ホームレスではない人に食べ残りの弁当などを差し出して
乞食扱いするのかと、変な揉め事になっては困る。
明らかにそれと分かる者にだけ渡すために
公園の中をうろうろと徘徊するハメになったこともあった。

その辺にほうっておいても良かったのだろうけれど
何となくそれでは捨てているのと同じように思えたのだ。
それではあまり変わらないではないか。

弁当を必要としている者に、手渡しで渡すことで
僕は僕なりに一種の善行をしているつもりになっていたのだ。

とは言え、ホームレスも常に独りでいるわけではない。
彼らには彼らの社会があるしコミュニティのようなものもある。
数人でまとまって生活しているようにも見える。

おそらくそれはその通りのはずで
それぞれが探してきた食物などを分け合うこともあるだろう。
僕が見た限りでも、どこかで拾ってきた酒瓶で
ちょっとした酒盛りのようなことをやっていることもあった。

「これさ、余り物で悪いけど良かったら食べてよ」

初めて僕がそう言いながら弁当を差し出した日、
彼らの表情に最初に浮かんだのは戸惑いの色だった。

「はぁ・・どうも」

そんな鈍い反応を見せながら
彼らは弁当をおずおずと受け取った。

けれど、毎日持っていっているうちに
彼らは僕の行動を把握するようになった。

(こいつは本当に余り物を持ってきてくれてるんだ)

そういう認識が出来ていったのか
彼らはやがて僕に礼や挨拶をするようになった。

「いただきます」
「お疲れ様です」

彼らのその言葉は
ほんの少しだけ、僕を心地よくさせてくれた。
切った張ったの世界に生きていると
誰かに純粋に喜んでもらえることはそう多くないからだ。

そして、だんだんと公園内のホームレスの様子を把握して行くにつれて
僕はある一人のホームレスに目を留めた。


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天鳳で日夜遊ぶ柏レイソルサポーター。

天鳳(鳳凰卓東風戦)の段位は現在八段。

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Twitter=@foolishowl0425

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