Polyhedron

フットボールと天鳳と、時々アンダーグラウンド。

Those were the days,my friend.

あまり大きな声では言えないけれど、かつて僕は賭け事でずっと食っていた。
といっても賭ける側ではなくて、賭けさせる側だけれども。

賭け事というのは、人間にとって言わば本能的な欲求であって
必ずしも悪いことではないと僕個人は思っている。
マイナスの側面もある、というだけの話だ。

言い換えれば、賭け事と適度な距離を保ちつつそれを楽しめるというのは
成熟した大人としてとても重要な資質だとも思う。

ただ、僕自身は賭け事はほとんどやらない。
胴元側で長く生きてくると、その控除率の大きさにどうしても目が行くし
それを上回るだけの勝率を自分が上げられるとも思えないからだ。

僕がどれだけ勝っても一文にもならない天鳳に熱中するのは
そういう側面もあるのかもしれない。

がしかし、麻雀をする上で、幾ばくかの金銭を賭けることを
僕は否定も肯定もしない。
自分もフリー雀荘ではいくらかのレートが乗っているのを承知で行く。
それが取り締まりの対象になっていることももちろん知っている。

麻雀という、この本当に面白いゲームを楽しむ上で
金銭を賭けることは必須ではないにしても、理解はできるというところだろうか。

けれど、雀荘を経営している側にとっては
そう暢気なスタンスではいられない。

風営法で定める営業時間の縛りだけでなく、
善良な風俗を害するとまでは思えない金額であっても摘発されるというのは
雀荘経営者、あるいはそこで働く人たちにとって死活問題だ。

大宮にロッキーSPという雀荘がある。
昔、プロ連盟のプロだったロッキー堀江さんのお店だ。
お金を賭けない麻雀を楽しめるお店を作るという信念の下、
今から10年以上前にオープンされたと聞く。

赤牌もなく、一発も裏ドラも無い、本当にシンプルなルールで打てるのだけれど
率直に言ってしまえば、流行のルールでは無い。
赤だけでなく、金だの青だの白ポッチだのと
どんどんインフレ化させられていく雀荘のルールとは明らかに逆行していただろう。

それも、ネット麻雀などが存在しない時代の話だ。
おそらく相当な苦労があったのだろうと推察する。

僕は、このロッキーさんのお店に何度か遊びに行ったことがある。
僕にとっては、レートが乗っているかどうかというのは
それほど大きな問題ではないからだ。

お店で何度かお話させていただく機会があったのだけれど
ロッキーさんから聞く麻雀の世界の話は本当に興味深かった。

ある日、そのロッキーさんのお店で、一人の女の子と同卓した。
まだ牌を扱う手つきも覚束ないような女性だったけれど
ロッキーさんが言うには近々競技プロになるのだと言う。

麻雀が好きで、強くなりたいという彼女と何度か打ち
その合間に会話を交わして、共通の知り合いが何人かいることを知ったのだけれど
正直に言うと、まぁ片手間みたいな感じなのかなと
その時の僕は思っていた。

プロの世界は、麻雀が好きというだけでは、
なかなかやっていけるものではないということは僕でも知っていたからだ。

ところが。

彼女は片手間どころの話ではなく、文字通り大活躍を見せた。

ゲストとしてかなりの売れっ子になっただけでなく
女流のタイトルを獲得し、そして防衛までした。
看板といっても過言ではない位置にまで上って行ったと思う。

先日行われたタイトル戦では惜しくも連続防衛はならなかったけれど
ツモ番をずらすためだけのチーをして
リーチ者にハイテイを回してツモらせトータルトップ目に親かぶりさせることで
点差を詰めようとする辛さまで見せてくれた。

わずか数年でそこまでできるようになったのかと
正直感心した。

また競技プロとしてだけでなく、初心者教室を自分で運営し、
講師としても麻雀人口増加へ貢献し始めた。

そしてついに、彼女は自分で雀荘経営に乗り出した。
プロデュースというのとマネージメントというのは違うのだろうけれど
そのへんの資本関係、雇用関係は僕には知る由もない。
要するに彼女が前面へ出て、運営に携わるという形になっているということだ。
それも、誰もが安心して遊べ、安心して働けるお店をという志でだ。

売れっ子になれば当然いろんな毀誉褒貶が出てくるものだけれど
そういう、ロッキーさんや彼女の志はとてもすばらしいものだと僕は思っている。

競技プロの経済基盤は本当に脆い。
長時間勤務、低賃金、低保障、さらには摘発リスクまである。
ゲストプロだの何だのと言ったところで、
構成要件的には賭博の幇助に該当しかねないことで生活しているわけだ。

麻雀業界がどういう方向に進んで行くのか、
もちろん僕には分からない。

小額のレートであれば検挙されないような法改正を目指して行くのかもしれないし
目立たぬように、お目こぼしをしてもらえるように
今のグレーゾーンからはみ出ないようにしていくのかもしれない。

でも、ロッキーさんのお店のように
完全にクリーンな形で経営が成り立つのであれば
それは一つの立派な答えだと僕は思う。
賭けなくたって麻雀は楽しめる、はずなのだ。

彼女が出したお店「Palette」は新橋にある。
あの界隈は雀荘激戦区だと思うけれどうまく行くといいなと思う。
たまには競技ルールで打ってみるのも悪くないと個人的には思ったりもする。
競技プロと競技ルールで真剣勝負できる機会って大会にでも出ない限りそうそうないだろうし。
(男性の競技プロも常勤でいる)


時間制限があって対局の合間に休憩時間が入るシステムのようだから、
あの時みたいに半荘の合間に、終わった後に、
麻雀の話を、あるいは他愛も無い話を
皆でできるようなお店になるといいんじゃないだろうか。

ああいう楽しい記憶って、人の心にはいつまでも残るものだから。

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Author:omoteura
天鳳で日夜遊ぶ柏レイソルサポーター。

天鳳(鳳凰卓東風戦)の段位は現在八段。

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